ビジネス書評

『MIT(マサチューセッツ工科大学)音楽の授業』創造する力の伸ばし方

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MIT(マサチューセッツ工科大学)は数多くのノーベル賞受賞者がいる世界最高峰の工学系教育機関であることは知られていますが、そのMIT(マサチューセッツ工科大学)の研究科・学部に「人文学・芸術・社会科学」が入っているのを知っている人はそう多くはないでしょう。MIT(マサチューセッツ工科大学)は以下の学部で構成されています。

 

★MIT(マサチューセッツ工科大学)の学部

1、科学

2、工学

3、建築

4、経営学

5、人文学・芸術・社会科学

 

中でも芸術分野に属する音楽科目の人気が高いそうですが、音楽がどう科学や工学といった分野と結びつくのか、実際にどういった授業が行われているのか詳しく書かれている本があります。それが、こちらの本です。

 

 

『MITマサチューセッツ工科大学 音楽の授業

世界最高峰の「創造する力」の伸ばし方』

2020年9月20日 第1刷発行

著者 菅野恵理子

発行者 佐藤和夫

発行所 株式会社あさ出版

 

 

本書は360ページほどあるぶ厚めの本ですが、MIT(マサチューセッツ工科大学)で音楽が学ばれる理由や何を学ぶのかという目的、授業の進め方とどう学ぶのかといったことが事例をもとに詳しく書かれており、これから海外の大学を目指す学生や我が子をMITマサチューセッツ工科大学に入れたいという親御さんにとって非常に参考になる内容となっています。

 

中でも、ビートルズだけで1学期分の授業が成立するという話だったり、ピアノを弾かない学生でも理解できるものということでロベルト・シューマンの小品集「子供のためのアルバム」を楽曲分析に用いるなど、興味深い話が随所に出てきます。音楽をしっかり勉強してこなかった私からすれば、ふーんそうなのか。。くらいにしかわかりませんが汗、これを機にビートルズの曲を改めて聴いてみたり、シューマンを聴いてみるようになりました。

 

日本の私立進学校でも音楽や芸術の教育に力を入れている学校がありますが、そういった学校は世界(の大学)を視野に教育を行なっており、リベラルアーツの教育を積極的に取り入れています。こういった教育がイノベーションを積極的に生み出すことに繋がるということなのでしょう。社会人においてもリベラルアーツへの関心は高まっていて仕事に役立てようという人が増えていますよね。

 

ちなみに著者の菅野恵理子さんは音楽ジャーナリストとして音楽で人を育て、社会を繋げることをテーマとした研究、講演等を行なっており、『ハーバード大学は「音楽」で人を育てる』という本も書かれています。このことからも世界最高峰の教育機関で「音楽」の重要性というのを知ることができます。「音楽」が優れた発想力や創造力を培うことにつながるということです。

 

さて、今回は何を書こうか悩みましたがMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ副所長である石井裕さんのインタビューが本書に掲載されており、内容が良いと思いましたので紹介します。石井裕さんは未来を生きる世代(子供たち)へのメッセージとしてこう述べられています。

 

 

『「芸術家」「デザイナー」「科学者」「技術者」といったラベルを貼らず「星を見る人」(空想家)になってほしい。そして、アイデアが湧いてきたらそれを多次元に通訳する、すなわち言語化・視覚化を通してアート、デザイン、科学、テクノロジー、全ての次元に変換・通訳できるようになってほしい。』

 

 

と。「星を見る人」という言葉はロマンチックですね。この言葉からもMIT(マサチューセッツ工科大学)はアートや音楽といった分野を重要視していることが窺えます。最後には未来を生きる世代(子供たち)に必要な3つの力を教えてくれました。

 

1、出杭力(突出する力)

出る杭は打たれるという言葉ありますが、石井裕さんは「はるかに抜きん出た杭は打たれない。」とおっしゃいます。若い人に向けた言葉ですが、何歳になっても突出した力を持った人間に勝てる者はいません。これは何歳になっても強力な武器となります。

 

2、道程力(道を切り開く力)

新しい環境に飛び込んで何か新しいことを始めようとすると様々な困難にぶつかり、時に孤独を感じることもあるでしょう。「僕の前に道はない。僕の後ろに道は出来る。」という高村光太郎の有名な言葉が本書で紹介されていますが、まさにこの言葉を胸に刻み、新しい道を切り開いてほしい。

 

3、造山力(海抜ゼロメートルから山を造り上げ、頂点を征服し、他者を招き寄せる力)

石井裕さんは石井さんご自身、そして我々にこう問いかけます。「あなたのレガシー(遺産)は何か?」と。私たちは遠い人類の未来に責任を負っているのだと。石井さんはMIT(マサチューセッツ工科大学)では自身がゼロから山を造り、頂点を征服し、次に続く人たちを招き入れることが生き残る唯一の道であったとおっしゃっています。その経験からも「造山力」は若い人たちに伝えたい言葉になっているのでしょう。

 

 

最後に、石井裕さんの研究室には多くの応募者(研究者、学生)がくるそうです。1、2名の採用枠に対して300名ほどの優秀な応募者が集まるそうですから大変な競争率なわけですが、「何を創造したいのか」「それはなぜ重要なのか」といった本質的な問いにきちんと答えられる哲学や情熱を持ち合わせているか、ということが重要視されているようです。

 

逆に言えば、こういった問いに対してきちんと答えられる哲学や情熱を持った人間に育てることこそがMIT(マサチューセッツ工科大学)の教育である、ということも言えるでしょう。これからビジネスを立ち上げようとする者にとっても大いに参考になる問いですね。それから、石井裕さんの研究室の応募者は多言語話者も多くいるそうです。私も多言語学習をしているので改めてがんばろうって思いました。

 

『MITマサチューセッツ工科大学 音楽の授業』という本は今まで音楽が好きで聴くことはあっても、その音楽が作り出された背景など深く考えることがなかった人たちにとっても新たな気づきを得られるし、音楽やアートの力というのを教えてくれる1冊です。本書があなた自身の秘めた創造力を引き出し、人生を大きく変えるきっかけになるかもしれませんので、ぜひご一読してみてください。

 

 

 

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