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柳沢幸雄さんと言うとどうしても「開成」を思い浮かべてしまいますが、2020年3月に開成学園の校長を退任されて、今は北鎌倉女子学園学園長をされています。開成の魅力の1つに柳沢幸雄校長の存在があったので、正直女子校の学園長に変わったと知った時は驚きました。
「まじかよ」と(笑)
その柳沢幸雄先生ですが、東京大学、ハーバード大学、開成学園、北鎌倉女子学園と50年近い教員生活の経験をされており、これらの経験等を踏まえ、コロナを経験した新しい時代の学び方というものを教えてくれる本を書かれていますのでご紹介します。
本書で柳沢幸雄先生はこれからの「優秀な子」というのは「リーダーシップのある子」であるとおっしゃっていて、その「優秀な子」の親がしていることというのが60に渡り書かれています。
『ハーバード・東大・開成で教えてわかった「頭のいい子」の親がしている60のこと』
2020年9月10日 第1版第1刷発行
著者 柳沢幸雄
発行者 清水卓智
発行所 株式会社PHPエディターズ・グループ
「頭のいい子」の親がしていることなので、主には大学生までのお子さんを持つ親が読者対象になるかと思いますが、子どもだけでなく、我々親自身にも必要になる「学び」が書かれていますので、中でも気になったキーワードをピックアップしてご紹介します。
ずばり、「英語」「プログラミング」「アクティブラーニング」です。
「外国人と話せる大人」になる
本書の冒頭で柳沢幸雄先生は「小学生の頃から国際化を目指し、アクティブ・ラーニングで問題解決能力を養い、プログラミング思考で論理性を磨く。」とおっしゃっています。すなわち、英語力が不可欠になってきたということです。
これはなにも子どもたちだけに限ったことではありません。大人も英語力が必要であり、英語ができるだけで選べる職種も年収も変わってきたりします。子どもたちに英語学習を進めると同時に、自分自身も英語学習をしなければなりません。
英語のできないというのはビジネスマンにとってコンプレックスになります。現に私も外資系企業に勤めていた時に多少なりとも英語を使ってはいたものの、今ではすっかり仕事、プライベートで使わなくなり、学習は継続しているもののもはやコンプレックス状態(苦笑)
本書では様々な英語学習法が紹介されていますので、興味があればぜひ読んでみてほしいのですが、知らなかった言葉、学習法がありましたのでご紹介しますね。それは、「ラダー・エディション(階段編集)」という学習法です。
「ラダー・エディション(階段編集)」とは、
「ひとつの物語を最初は平易な言葉と少ない語数で学び、だんだん語数を多く、難しい言葉を交えて学ぶ。」
という学習法です。開成生もこの方法で英語力を高めているそうなので興味深いですね。図書館には段階別、物語別の冊子が数多くあるそうなので、自分の子どもにこんな本あるの?って聞いてみても良いと思います。もちろん大人も使える学習法なので調べてみましょう。
「プログラミング的思考」を持つ
柳沢幸雄先生は「読み書きそろばん」に代わり「読み書きプログラミング」が必要になってくるとおっしゃっています。そろばんが不要ということではなく、そのくらい重要なことだということです。2020年から小学校から高校の各学校で「プログラミング教育」が必修化されました。
*小学校プログラミング教育の手引(文部科学省HP)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm
上記リンクにある「小学校プログラミング教育の手引(第3版)」に「プログラミング的思考」とは何か、が書かれていますが、小学校においてはプログラミング言語を学ぶということではなく、考え方を学ぶことを主眼に置いています。
すなわち、本書に書かれているように小学校においては、システムの流れを理解した論理的な考え方を学ぶことを目的とし、中学生、高校生に上がるにつれ、プログラミングを経験し、コンピューターを活用して問題解決を行なっていきます。
論理的思考という言葉はコンサルタントなどビジネスマンにとっては嫌というほど聞いてきた言葉ではないでしょうか。論理的思考について書かれた本は数多く存在し、論理的思考を鍛える研修も多くあります。
この論理的思考をプログラミング教育を通して、小学生のうちから学んでいくというのですから、昭和時代の人間からしたら驚くばかりです(笑)
「小学校プログラミング教育の手引(第3版)」(70ページ弱)についてはビジネスマンにとっても参考になる内容なのでぜひ読んでみてください。大人も学びが必要ですよ。
「アクティブラーニング」で知識を定着させる
「アクティブラーニング」についても文部科学省HPで「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び」と説明されています。本書にわかりやすく説明されていますが、「知識を先生から一方的に生徒に授ける授業スタイルではなく、あるテーマに対して自ら課題を解決するためにアクティブ(積極的)に自分の意見を言う、討論を行う。」ということです。
ハーバード大学など海外の大学の授業映像がTVで流れたりしますが、まさにあの光景ですよね。ちなみに、アクティブラーニングでは家でやるのは予習だそうです。授業でやるテーマをあらかじめ自分で学んでおいて(予習)、教室で定着させていくやり方はアメリカは顕著だとか。
予習しておかないと自分の考えを発信できませんから、アクティブラーニングにおいて自分の考え、意見を出す訓練をしておくことは、ビジネスマンになっても大いに役立つでしょう。自分の子どもたちもアクティブラーニングで将来活躍できる人財になってもらいたいものです。
さて、今回は柳沢幸雄先生の著書『ハーバード・東大・開成で教えてわかった「頭のいい子」の親がしている60のこと』をご紹介しました。結局のところ「英語」、「プログラミング」(論理的思考)、「アクティブラーニング」といった教養、スキルを持ち合わせた人財はビジネス界で活躍されています。
こういった教養、スキルを子どものうちから培っていくことで、柳沢幸雄先生がおっしゃる「リーダーの素養のある子ども」が育っていくことにつながるのだと思います。